私はとても怖がりで、特に寝起きは涙も震えも抑えることが出来ないようです。
昨夜、とても怖い夢を見てしまいました。
ベッドで横になる私の首に、手がかかるのです。
その手は想い人の両手で、冷たい視線とは裏腹に、苦しそうなかすれた声で「逃げろ」と。
想い人の意思とは関係なしに、体が私を殺そうとしているようでした。
目覚めて、メールを打っていました。
震えは止まらず、眠ることも出来ません。
また同じ夢を見てしまうのが、怖かったのです。
夜中にも関わらず、打ったメールの返事が届きました。
私は電話をかけていました。
泣くだけで、声など出ないのに。
「昔、怖い夢を見ると、枕を持ってママのベッドに潜り込んだよ」
相手は優しく、笑える話をしてくれました。
「いつもだったら『チャンスだ』って思うんじゃないの?
 好きな相手が自分からベッドに来てくれてるんだから」
「そう・・ですね」
「嗚呼、もしかして・・怖い夢って言うのは電話する為の口実だったとか?
 うっかり騙されてしまったわ」
勘が鋭すぎて騙されたことなどないのに。
電話を切る頃にはすっかり落ち着いていて、眠っても怖い夢など見ませんでした。