ふいにプリとの会話を思い出した。
ええ、僕の言う“プリ”はリネ世界に一人きりですから、彼との会話ですね。
さすが、というべきか、勘が鋭いんですよ。
事情は知らないのに、何かが起きると、原因が分かるようなんです。
僕はStairwayToHeavenでも、沢山迷惑をかけました。
僕が原因で起こってしまった事象に、プリは毎回気が付いて。
「あのことだけど、うのが噛んでる?」
二人きりの朝の時間、個人的なことでもクラチャを使うプリが、こういう時だけは用心かwisを使いましたね。
プリと話をするのは、クラチャでもドキドキでした。
僕の勝手な思い込みであって、事実は分からないのですが、嫌われている気がしていたんですよ。
プリはとてもはっきりした人で、彼には嫌いなタイプがあって、それが僕と符合していたから。
「いつでもクランを出て行きます」
と言う僕に、プリは毎度
「そうじゃないよ」
と返しましたね。
さて、どういう意味だったのか。
・・分かっているんですけれどね。
分かっていながら惚ける僕は、さぞかわいくなかったことでしょう。


あの頃、プリがいたからリネを続けられた。
そう、僕はプリが嫌いじゃなかったから、プリに否定させる言葉を言わせるように仕向けていたんだ。
プリはそこまで気付いていたのかな?
「何かあれば、今、聞くよ。
 言いたくないなら、聞かないから」
プリの質問に対して、僕はいつも肯定の言葉も否定の言葉も返さなかった。
ただ「出て行きます」と告げた。
本当に、プリはそれ以上聞かなかった。


嗚呼、僕はまた考えている。
何も知らない、気付いてもいない、今の王子はプリじゃないのに。