ある子供

例えば大勢で外食する機会があって、メニューをどうする?
僕は周りのオーダーを全て聞いてから最後にどうするか決めた。
周りの人よりも安いメニューを選ぶ為に。
ホントに食べたいものはちょっと値が張るものだったとしても、絶対に選ばない。
食事を終えて家に帰って、そこで家族から一言声をかけてもらえたら・・そんなことを考えながら。
つまりは“この子は遠慮している”と思ってもらいたかっただけ。
その頃の僕の美学は、我慢したり遠慮したり気を使えることだった。
自分の嫌なことを進んでやったり、誰かの手伝いをしたり、迷惑をかけないようにしたり、そんなことをよくやった。
でも声を出すのが嫌だったから何をするにも不言実行で気付いてもらえないことも多くて。
当然、食事処でホントに食べたいものでなく違うものを選んだって気付いてもらえることなんてほとんどなかった。
でも、気付いてくれて、後からでも「遠慮しなくて良かったんだよ」と言ってもらえたら・・とても嬉しかった。
ひねくれた子供。
気難しい子供。
今でも子供で、無駄に頑張ったり、無理に前向きを装ったり。
ああ、でも俺、気分屋なんだよなぁ。
いつも頑張れないよ。