店長、もう無理です!

昨日、僕がそこに配属されて以来の事態が発生した。
ラストオーダー15分前、僕は、厨房とフロント*1のちょうど中間地点にあるパントリー*2でケーキを盛っていた。


「二条、悪いがちょっと走って、IN看板*3消してきてくれ!
 アフターは○○にやらせるから!」
「はい、分かりました」


ラストオーダーの時間になったのだと思っていた。
しかし、消灯して戻ってきても、一向にピアノ演奏は止まない。
ピアノ演奏はラストオーダー時間に終了するはずなのに。
時計を見る。
お気に入りのアナログ時計の長針は、まっすぐ右を指していた。
『8時15分ですよ、二条さん』
そう告げている。
仕事終了後、店長がタバコを片手に、言った。


「今日、はよ受付切ったやろ?」
「はい。お待ち*4も断っていましたよね?」
「待たれても、あかんからな」
「?」
「厨房の声、耳に入っとらんかったな?」
「・・すみません。アフターと必死でした」
「いや、あの状況やからな、しゃあないわ。
 あの時、客が来た時な、○○*5が叫んでな」
「○○さん、何をです?」
「『もう無理です!』ときたわ」
「え・・?」
「仕事のきつさちゃうぞ。
 『肉切れました!』だと」
「・・・」

忙しさに気付かなかったのだが、昨夜は軽く総食数200食*6を軽く上回っていた。
食材発注担当のために、店長が事前に予想食数を立ててくれているのだが、その予想は160食。
少し多めに発注をしていても、材料が尽きてしまったのだ。
そういえば、アイドルタイム*7も半数以上席が埋まっていた。
皆さん、そして自分、お疲れ様でした・・。

*1:受付

*2:直訳は食料庫。俗語でデザートや飲み物、アフター物を用意する場所も指す

*3:駐車場においてある「IN」と書かれた看板。その電気がついている時、店は開いている

*4:順番待ちをしているお客様

*5:厨房主任コック

*6:通常の休日で160〜200食

*7:レストランでは、平日14〜18時頃、休日15〜17時頃にお客様が来ることはほとんどなく、従業員の休める時間となっている。その時間帯の事