変わらないな

帰国後すぐ、いえ、出国した時から、話したい相手がいて、昨夜も待っていました。
10分と待つことができなくなって、電話を手に取った途端に、相手から連絡が来ました。
何も変わりません。
私にとっては長い期間でも、相手にとってはそうでもなく、話す言葉も変わらない。
寂しくもあり、けれど、やはり、安心しました。
この方をリアルタイムで感じること、暖かいのです。
「わかったから、おちつけ」
言葉も浮かばずに、それでも話したいことが沢山あって、口をパクパクさせてしまう私に、苦笑が返ってきました。


私の話し方は傍観者のようで、テキスト通りの言葉ばかりのようです。
旅行へ行っても、観光書に載っている様なことしか言えなくて、相手を退屈させてしまいました。
「陰影を追いかけてしまって、あかん。
 おまいに言っても仕方ないな、許しておくれ」
寂しいことを言われても、離れられない。
陰影を追う事は、その人のせいじゃない。
私が足りないのだから、仕方がないのです。
「おまいから俺が消えたら、おまいは俺を優しいと思うか?」
「ホントに消えたら、優しいと思うのでしょうね。
 貴方は無闇に人を傷付ける方ではありませんから、考えがあるのでしょう。
 今、こうして構って下さる事、優しいと思っていますよ」
「クールだな」
「優しいと思うか、でしょう?
 寂しいか、泣くか、生きていけるか、ではなくて・・」
「ふふ」
貴方の返事は、はっきりしている。
期待もさせず、嘘も言わない。
「いなくなったりしないで」
そう言う私への返事は、短い言葉。
「またな」
少なくとも、次はある。