「好き」って押し付ける感情じゃないんだよね

訊かない優しさ。
君は僕が怖がることを何も訊かないね。
現在好きな人がいるのかとか、過去に誰かと一緒にいたかとか、恋人がいるのかさえ訊いてはこない。
ただ「好きだから、一緒にいたいんだ」って言ってくれるね。
それも、強制じゃない。
リネにいる、その時だけ。
リネにいても、僕が一緒にいたくなくて返事出来ないとき、挨拶以上のwisを送ってこない。
そして寂しくなった時、気が付くと同じ画面に立ってくれてる。
気付いて、キャラクターを動かすと
「ボーっとしてるうちにメイプル変身させるつもりだったのにw」
なんて笑わせてくれる。
君は一体、誰なんだろう?
どうして僕を嫌な子にしないんだろう?
君が何も訊かないから、僕は自分を責める言葉を口にしなくて済むんだ。
君がただ待っていてくれるから、僕は寂しくならないんだ。
君はリネをゲームとして楽しんでいるって言っているね。
じゃあ、どうして僕がいる時、狩りに行かないの?
僕とじゃ、楽な狩場にしか行けやしない。
僕は気まぐれで、クラハンだって参加しないって言ってしまう。
君はすぐに連れ戻しに来てくれるね。
「一緒に行くんだよ!」
ってさ。
どうして放っておいてくれないんだ、って他の人相手なら思うのに、君に対しては思えないよ。
画面のこちらで口にしてはいるけれど、心から思ってやしないのさ。
だって、君が迎えに来てくれるから、僕はそれ以上自分を嫌いにならずに済むんだから。


昨日もそうだった。
気が付くと、君は隣に立っていた。
「どうして、ここにいるの?」
「ここに卯之がいる気がしたw」
「・・え?」
街中。
それも周りに誰もいやしない、街外れ。
どうやって僕がここにいるなんて気になったんだろう?
「いそうな場所、何と無く分かるんだよね」
全く以って、君は謎。