泣いて全てが許されるとでも?

「泣けば全て許されるとでも思ってんのかな?」
泣いている女の子を見て、貴方は聞いてきた。
「そう思って泣く人は、大した役者ですね」
泣き虫の私は、返した。
泣いている相手に、そんな質問をすることは、相手を傷付けることにしかならないと思っていた。
何故なら、そう質問する人は、相手を馬鹿にしているものだと考えていたから。
私は泣くたび、こう質問されることが嫌で、人前で泣かないようにしてきた。
それでも泣いてしまって、この質問をしてきた相手に、怒りを覚えていた。
例え好きな相手であっても、私はこのことに関してだけは許せなかった。
お前は許されると思って泣くのかよ、と心の中で相手を踏みにじってきた。
そして、そう考える自分をもっと嫌いになっていった。
この日、貴方に続きを話される前までは・・。
「俺は許すよ。例え、殺されてもね」
泣きそうな笑顔で、貴方は言った。
「だってな、自分の為に泣いてくれてるんだぜ?
 …人はもっと許されていい存在なのさ」
これまでのこと、どうして許せなかったのか不思議になった。
少し、優しくなれた気がした。